口腔外科(歯根端切除術)
歯根端切除術
歯を残せる可能性
歯根端切除術は、根管治療の一環として、根管治療後の経過観察中に治癒の傾向が見られない場合や、歯根が曲がっている、つまっている、あるいは金属の土台の除去が難しいために根管治療が行えない場合に、抜歯せずに利用される治療法です。歯根の端を切除することで、歯の機能を回復させ、根管治療では治らない歯の感染や歯ぐきの腫れなどの症状を改善します。

冠を取らずにアプローチ
歯根端切除術では、冠(クラウン)を取り外す必要がなく、歯ぐきを切開して直接骨にアプローチします。これにより、金属の土台の除去が難しい場合でも、歯根の処置が可能となります。
短期治療
歯根端切除術は、局所麻酔を使用するため、手術中の痛みがありません。その代わり、術後には一時的な痛みや腫れが発生することがあります。これらの症状は術後1~2日でピークに達し、その後1週間程度で徐々に治癒します。このように、比較的短期間で症状が緩和されるのが特徴です。
歯根端切除術の手順
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STEP1局所麻酔を行う
痛みを感じないように麻酔を行います。
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STEP2歯ぐきを切開して骨に穴を開け、膿の袋を取り除く
歯ぐきを切開し、膿の袋を摘出します。
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STEP3歯根の先端を3mm程度切除
歯根の先端を切除します。
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STEP4マイクロミラーで切断面の根管と歯質をチェックし、感染原因部を探す
切断面の根管と歯質を詳細に確認します。
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STEP5超音波チップで切断面の根管に穴を形成して清掃する
超音波チップを使用して切断面を清掃します。
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STEP6生体親和性の良いマテリアルを流し込み、逆根管充填する
生体親和性の高い材料で逆根管充填を行います。
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STEP7術部をよく洗浄した後、歯ぐきを戻して縫合する
最後に、手術部を洗浄し、歯ぐきを元に戻して縫合します。
歯根端切除術は、直接冠を取らずにアプローチすることができ、早期に歯の痛みや腫れを軽減し、歯を残す可能性を高めます。
歯牙移植術
歯牙移植術とは
「歯牙移植術」とは、一度抜歯した歯を新しい場所に移植して機能させる治療法です。この治療法が可能になる理由は、「提供歯(ドナー歯)」の周りに存在する「歯根膜」にあります。

歯根膜の役割
歯は骨の中に埋まっており、歯と骨をつなぐ組織が「歯根膜」です。この歯根膜は歯の根全体を覆っており、再生能力の高い細胞が多く含まれています。通常、これらの細胞は活動していませんが、歯牙移植術による刺激で再生能力を持つ細胞が活性化します。
移植のメカニズム
移植の際、提供歯と一緒に歯根膜も移植されます。これによって、以下のような再生が進みます。
1.再生細胞の活性化
- 骨を作る細胞(骨芽細胞)
- 歯ぐきと骨が結合するための細胞(セメント芽細胞、線維芽細胞)
2.増殖
- 活性化された細胞が通常の6倍以上の勢いで増殖します。
3.再生と結合
- 歯を支える組織(歯周組織)が再生され、移植した歯が周囲の骨と結びつけられます。
歯牙移植術は、歯根膜を活用することで、高い再生能力を引き出します。これにより、移植された歯が新しい場所でも機能し、周囲の骨ときちんと結びつくことが可能になります。