歯周病やむし歯などが悪化して歯を抜いてしまうと、あごの骨への刺激が少なくなることや、入れ歯などによる圧迫により、あごの骨が薄くなってしまうことがあります。
あごの骨が薄いとインプラントができないことがありますが、手術によってあごの骨を補うことができます。これらの手術は「骨造成手術」と呼ばれ、あごの状態により、さまざまな治療を行います。
骨造成手術の一例
●サイナスリフト
上あごの骨の高さが不足しているときに行う手術です。上あごの奥歯の上方には「上顎洞」という空洞があります。ここに補填材(骨と同様の組成で最終的に自家骨に置き換わっていくもの)を填入することで、十分な骨の高さを作ります。
●ソケットリフト
上あごの骨の高さがわずかに不足しているときに行う手術です。インプラントを埋め込むための穴から補填材を入れて、適度な骨の厚みを作り出します。サイナスリフトに比べて患者さまの体への負担が少なく、治療期間も短くできるというメリットがありますが、補填できる量に制限があります。
●GBR
骨幅が不足している場合に行う手術です。骨が不足している部位に補填材を加えて特殊な膜で覆い、骨を誘導して増量させる方法です。誘導できる量には限界があります。
●自家骨移植
骨幅と骨の高さが不足し、適切なサイズのインプラントが不可能である場合に適応される骨の移植手術です。使用するのはご本人の骨のため安全であり、十分な強度と大きさが得られる最良の方法です。
●角化歯肉移植
インプラントの長期安定性は、人工歯の周りが通常の歯と同じように硬く引き締まった歯ぐきに囲まれることが重要です。そのため、入れ歯のご使用が長い方や骨造成手術後に硬い歯ぐきが少ないと判断された方に有効な治療です。上あごから粘膜を採取してインプラント周囲に移植する方法です。